シンポジウムでは、都市計画分野から3名の著名な学者をお招きし、レクチャーとラウンドテーブルを実施しました。
延べ135名の参加者の下、対面・オンライン会場からの質問・意見を踏まえつつ、25年後の東京の姿について議論しました。
本シンポジウムで議論した内容は、動画や書籍として今後出版される予定です。
PROGRAM
会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 東館6階 G-Lab(Zoomによるハイフレックス方式)
日時:2026年5月16日|土|13:15-18:15
言語: 日本語
参加者:延べ 104名
主催:慶應義塾大学 理工学部 ホルヘ・アルマザン研究室
共催:慶應義塾大学 アートセンター
※以下、写真は全て、森岡史仁氏による撮影
INTRODUCTION
2001 年、東京は規制緩和を契機にメガプロジェクト型の都市開発へと大きく舵を切った。それ以降、都心部を中心に大規模再開発が進展し、東京の都市像は大きく変容してきた。これらの動きは国際競争力の向上や都市機能の高度化をもたらす一方で、地域の歴史や環境、生活文化との関係をいかに再構築するかという課題も提起している。本シンポジウムでは、「TOKYO 2050 世界が憧れるメガシティの未来」をテーマに、こうした都市の変容を多角的に捉え直す。中央線沿線の地域構造や郊外の歴史的文脈に着目した都市の読み替え、風致という制度的概念の再検討、そして規制緩和以降の 再開発とそれに対する地域社会の応答といった視点を通じて、東京の現在地と今後の方向性を検討する。行政、専門家、市民、民間企業など多様な主 体が関わる都市において、いかなる価値を共有し、どのように都市の将来像を構想すべきか。本シンポジウムでは、異なる立場と知見を横断しながら、東京という都市の多層性を捉え直し、その可能性を展望する。
撮影・編集:森岡史仁LECTURE 1 |「風致」の東京 ―その可能性を都市計画史から考える
中島 直人|東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 教授
「風致」とは何だろうかー日本の都市計画制度の成立時から用意された風致地区制度は、現在に至るまでの間に全国各地で指定され、運用されてきた。しかし、その制度の内実は当初より冒頭の問いとともにあり、時代とともに実質的な役割も変化を遂げてきた。本講演では、東京における風致地区の歴史的展開を跡付けながら、風致地区、あるいは「風致」というコンセプトが今後の東京においてどのような力を持ち得るのか、考えてみたい。
撮影・編集:森岡史仁LECTURE 2 | 東京西郊の古層と近代層の再評価 ―中央線沿線の地域構造と再生ビジョン
陣内 秀信|法政大学 名誉教授、同大学江戸東京研究センター特任教授
東京の圧倒的に広い範囲を占める郊外に関しては、一部の計画的な街を除き、その形成の歴史、空間の構造は知られていない。実はそこに東京らしさが多く潜む。地元の阿佐ヶ谷を中心にこのテーマを考える。現代人の暮らしの軸となる中央線は新しい。これを視界から外すと地形と結びついた武蔵野の古層が見え、ルーラルな遺伝子が浮上する。一方、近代の産物、中央線の駅周辺には、下町の遺伝子を受け継ぐ商店街、ミニ盛り場がアーバンな要素を集積する。双方の組み合わせを小さなテリトーリオと考え、両者とその繋がりを魅力的に再生する論理を考えたい。
撮影・編集:森岡史仁LECTURE 3 |「 規制緩和」を通じた東京の超高密度再開発の進行と地域社会のカウンターアクション
大方 潤一郎|東京大学 名誉教授
1980 年代からの「規制緩和」「民活」を通じた東京の再開発促 進政策の歴史を振り返り、その目的が中高層不燃化と公共オープンスペースの拡充を通じた防災性向上と都市空間の近代化から、高容積率共同住宅や商業業務ビルの建設促進を通じた地価の底支えへと変質し、さらに2000 年代からは東京の「国際競争力」向上を名目とした建物床の大量供給と金融商品化による「都市の超高密度化と公共空間の質的劣化」が急速に進行する一方、こうした粗大低劣な不動産開発に対する市民/地域社会の側からのカウンターアクションの展開と将来展望について考察する。
撮影・編集:森岡史仁ROUND TABLE
3 名の講義を踏まえ、郊外の歴史的文脈、風致の制度、規制緩和以降の再開発と地域社会の応答といった論点を横断的に接続し、東京の都市構造を再考する。多様な主体の関与のあり方を含め、ホルヘ・アルマザン(慶應義塾大学 理工学部 教授)と 齋藤 直紀(東京大学不動産イノベーション研究センター特任助教)の司会進行により、2050年に向けた都市像の可能性を議論する。
撮影・編集:森岡史仁